『後藤鉱泉所・株式会社啓文社』異業種コラボで地元に光を当てる新商品を開発、利益率の改善に成功!
事業者様からの相談内容
後藤鉱泉所[尾道市]、株式会社啓文社[尾道市]
後藤鉱泉所は昭和5年創業。尾道の対岸に浮かぶ向島で、手作りのサイダーを製造販売しています。オーナーの森本繁郎さんは元公務員。高齢の先代夫婦が廃業を考えていたとき、「地域の宝を残したい」と事業を承継し4代目店主となりました。
株式会社啓文社は昭和6年創業。尾道市を中心に広島県、岡山県で多数の店舗を展開する複合型書店です。井上剛さんは同社の店売本部長を務めています。
相談内容:利益率の改善・新商品開発
森本さんは、後藤鉱泉所の事業承継後の経営改善を考え、フクビズに相談に来られました。後藤鉱泉所は、日本国内に数台しか現存していないといわれる70年前のサイダー製造機を現役で稼働させています。年代物の機械であるため大量生産ができず、修理費用もかさむため、事業の利益が伸びないことが悩みでした。
先代から続く看板商品「マルゴサイダー」は定番商品ゆえに思うような値上げが難しく、「利益率を上げる方法がないか」と模索していました。
フクビズからの提案
他業種との協業・新商品開発・情報発信
他地域の事例から、アニメや音楽などの「作品の世界観を再体験したい」ニーズに着目。「文学のまち尾道」にちなんだ「尾道文学サイダー」をコンセプトに据えました。
2022年2月、地元の老舗書店 啓文社の井上さんをマッチングしプロジェクトに加わってもらい、尾道ゆかりの作家をリサーチ。作品内にサイダーの描写がある林芙美子の小説「めし」を発見しました。ちょうど、サイダー製造機と同じ昭和20年代の作品です。
当時と同じ機械・製法でレモン味とリンゴ味2種類のサイダーを試作し、啓文社が読書会を開催している老人ホームの入居者に試飲を依頼。「リンゴ味の方が懐かしい味」と好評だったのと、シードルがサイダーの語源でもあることから、リンゴ味で商品化を決定しました。
商品化にあたり、おのみち林芙美子記念館や尾道市立図書館、林芙美子氏のご遺族などにも丁寧にコンセプトを説明し、協力を得ました。ラベルはフクビズのクリエイティブアドバイザーのアドバイスも受けながら、林芙美子氏の写真をもとにレトロタッチのイラストを用いました。
フクビズの支援結果
メディア露出・利益率改善・新規販路獲得・モチベーションの向上
コンセプト決定後にフクビズからメディアの方々にプロジェクトをご紹介し、密着取材などをアレンジ。
林芙美子の命日近くに尾道の商店街前で開催される「あじさいき」で「尾道文学サイダー 林芙美子編」の先行販売を実施。NHKや新聞社、経済情報誌、地域情報誌の取材を受けました。
書店と飲料メーカーがそれぞれの本領を発揮したコラボプロジェクトは大きな反響を呼び、今では定番商品に次ぐ売り上げとなっています。
それぞれ別々にフクビズを利用していた井上さんと森本さんですが、「こんなに近くにいたのに、今まで出会えなかったのが不思議」と意気投合。プロジェクト第二弾への意欲を高めています。